【6月30日】
日付かわって間もない夜中の12時ちょっと過ぎ、もう一匹の仲良しにゃんこ、みーちゃんと何かの物音にものすごいびっくりして急に走りだし、そのまま網戸だけにしていたところに突っ込み、網戸を破って二階から下の草むらへダイブ!!
主人と二人で速攻で草むらへ行くが、暗くて姿が見えなかったが、心細そうなふー太郎の声が聞こえ、捕まえようとしたが、はっきりと見えず逃げられる。
5分くらい、家と家の隙間などを逃げていたが、姿は
見えていたので油断していたかもしれない。
深夜ということもあり、大きな音もたてられず、なかなか他人の家の敷地内に入れず結局見失ってしまう。
それから入り組んだ家の隙間などを探したが、見つからずに2時間ほどで断念し、家に帰りネットであらあゆる捜索方法などを調べた。
この日は一睡もできなかった。
空が明るくなったところで近所を捜索するも、姿はもちろん、声すら聞こえない。
とにかくチラシだ、と思い作成。
昼過ぎにはご近所に配り、貼り、知ってもらった。
2時間おきくらいに外に探しに出て、名前を呼んでみるが、まったく反応なし。
【7月1〜3日】
ポスターを貼りながら主人と捜索。
まったく進展なし。
ネットで猫探偵のことを知り、頼んでみようかと言う事になり電話をしたが、混んでいて始められるのが3〜4日後と言われ諦めたが、うちの近所までチラシを見に来てくれた、猫探偵社の塩谷さんから直接電話をもらい、話を聞く事にした。
【7月4日】
迷子から5日目。
塩谷氏と初対面。
とても猫好きな感じと、何がなんでも見つけましょう、という姿勢に共感し、契約を交わす。
あらゆる道具をすでに用意してきていて、準備万端で時間を無駄にしないところも感動。
明日からの契約なのに、書面での契約が済んだら夕方から近所を案内しがてら捜索してくれた。
その途中、うちの一階に住んでいる方からいきなりの目撃情報。
しかも二日連続で見たとのこと。
ふー太郎かどうか100%ではないが、家から150メートルほどの人気のない細い道と、他ののら猫に追われて逃げていた、という情報。
それがふー太郎なら、すでに家のまわりにはいなかった事にびっくりした。
【7月5〜7日】
塩谷氏と夕方うす暗くなってから本格的に捜索開始。
チラシを塩谷氏がミニバイクで300メートル圏内に貼ってくれた。
それから目撃情報のあった場所やその近くで聞き込みなど。
私達は、少し離れた場所などを名前を呼びながら捜索。
塩谷氏は、近所のえさやりさんなどに簡単に接触し、話を聞いたり仕事が早い!
しかし、間違い猫の目撃情報や、こういう聞き込みや捜索が数日続き、体力的にすごく疲れてくるが、見つけたい気力がどうにか支えてくれる。
【7月8日】
迷子から9日目。
自宅から150メートルほど離れた団地の広い駐車場で、塩谷氏がついにふー太郎を目撃!
電話をもらい速攻駆けつけ、主人と二人で確認するが、逃げ足が早く、優しく名前を呼んでも、ご飯のお皿の音を聞かせても振り向きもせず逃亡。
しかし、この日からこの駐車場を拠点に、近くの墓地や公園などでたびたび目撃することになる。
逃げ方を見て、塩谷氏が捕獲機設置を提案し実行にうつす。
この日は朝方まで張り込んだが、目撃できなくて終了。
【7月9〜13日】
捕獲機を2台に増やし、私達が目撃した場所に設置するも、かかるのは野良猫ちゃん達だけ。
ごめんね、のらちゃん達。
塩谷氏との契約を延長してもらう。
塩谷氏も何度も目撃しているのに、捕獲できないのに契約終了はかなり悔しいようだったので快く承諾してくれた。
このあたりでは塩谷氏の実働時間はかなり長かったと思う。
しかし、ふー太郎捕獲には至らない日々や、台風などの天候の悪い日が続き、精神的に焦りが出ていた。
そして、13日の朝6時前に塩谷氏が墓地の近くで歩いているふー太郎を目撃したのを最後に、この日から9日間ふー太郎はぷっつりを姿を見せなくなる。
その間の日々は本当につらかった。
またどこか遠くへ行ってしまったんじゃないか、最悪のことばかり考えていた。
もう心が折れる寸前で、笑うこともできなかった。
主人といつくらいに捜索を諦めようか、などと話あったこともあった。
塩谷氏ももっと広範囲にチラシを貼ったりした。
しかし、有力な目撃情報はゼロ。
もうどう進んでいいのかまったく分からなかった。
【7月14〜21日】
迷子から2週間以上経過。
何の目撃も情報も進展もなく、捕獲機に入ってくれる事を願いながらふー太郎の姿を探すむなしいだけの日が続く。
この頃本当に心が折れる寸前だった。
【7月22日】
迷子から23日目。
今日で塩谷氏との契約終了の日。
夜の7時に塩谷氏が来る予定だったのだが、その1分前、目撃したことのある例の公園(自宅から200メートルちょっと)での目撃情報。
しかも2,3分前に見た、というリアルタイムで、特徴も一致する有力情報。
電話を切るとき塩谷氏が来たので、すぐさま捕獲機を持ってバイクで公園に行ってもらう。
私もすぐに駆けつけ、塩谷氏と捕獲機を設置しながら名前を優しく呼び続けた。
こちらの姿を見せると現れないので、7時半ごろ一度家に帰り、用事をすませたりした。
そして少し携帯から離れたすきに、塩谷氏から留守電が入っていたので聞いてみると「ただ今、ふーちゃん捕獲!! 捕獲しましたー!!」と元気いっぱいの声。
震える手で折り返し電話すると、ほぼ間違いなくふー太郎とのこと。
とにかく早く連れて来てくれとお願いし、3分後には家の玄関に捕獲機に入ったままの少し汚れてしまった、でも間違いなくうちのふー太郎の姿が。。。
声を出して泣いてしまった。
こんな嬉し涙、今までの人生で流したことのないくらいの感動の涙。
手が震えて捕獲機のロックをはずせないので、塩谷氏にはずしてもらい、出てきたふー太郎を抱いた。
すっかり骨っぽくがりがりにやせていたが、またふー太郎を抱っこしたいと神様に祈っていたのが叶った瞬間だった。
ふー太郎は私の気持ちなどにかまっていられないほど怖がっていたが。
一度も外に出たことのない子が3週間も知らない世界をさまよい、ご飯欲しさに捕獲機に体を入れた途端拘束されどこかに運ばれる。
そして気付くとそこは住み慣れたおうちだった。。。
一体どうなっちゃってるんだろうって感じですかね。
とにかく、すぐにふー太郎を洗ってあげた。
洗っている時も優しく名前を呼んで「もう大丈夫だよ、何も怖くないよ、ふーのおうちだよ。」と声をかけ続けていたら、興奮していた声や行動が静かに治まってきた。
お風呂上りに缶詰ご飯をあげたら、今までに見たことのないようながっつきぶりでたいらげた(お風呂前にもあげてみたけど、まだ興奮中で食べなかったんです)
この時塩谷氏はかなり広範囲まで貼ってしまったチラシをはがしに行ってた。
ご飯を食べ終えて落ち着きを段々取り戻していったふー太郎は、家の中を確かめるように探索。
名前を呼んだりすると少し枯れた声で答えてくれる。
ママだと分かってくれたようで安心した。
しかし、5キロ以上あったがっしり体型だったふー太郎の見る影もないくらいの痩せよう。
背中は骨がごつごつしていた。
顔も人間でいうとものすごいクマが出ている疲れきった感じ。
眠くてしょうがないという顔。
ゆっくり寝かせてあげたい。
いっぱいご飯食べて早く元のように体調を戻してほしい。
本当によく頑張ってくれた。
生きていてくれた。
捕獲機に入ってくれた。
ふー太郎に「お疲れ様」と言ってしまった。
そしてこれからは私達人間も、気をつけられるところはとことん気をつけ、もう二度とふー太郎や他の猫ちゃんたちにも怖い思いなどさせたくないと反省した。
この日はふー太郎が落ち着いたのを確認し、主人と3人で塩谷氏と祝杯をあげに、きちんと戸締りをしてから出かけた。
長期間、長時間、塩谷氏には本当ーにお世話になった。
途中、見つからないイライラなどから口げんかみたいな事もあったが、塩谷氏のポジティブな考えに救われた。
今回、迷子探しの記事や探偵社などをたくさん見ましたが、私達は最初から塩谷氏に当たって本当によかった、ラッキーだったと思っています。
たいていの会社が3日間という短い捜索期間を設定してますが、体験者として、まず3日間などでは本当の有力情報でもない限り保護までいかないと思います。
しかも目撃情報は現実として、ほとんどが猫違いの子のことですし、昨日見た、先週くらいに見た、などでは遅すぎるのです。
最初に目撃するまではやはり足を棒にして近所からくまなく捜し、地図を見ながら少しでも可能性のある場所に範囲を広げ歩き回るしかないです。
自分達だけでは無理なことやめげてしまうこともたくさんあるので、探偵さんに頼むのもお勧めですが、なかにはいい加減な業者もいると聞きます。
まだ見つからず悲しみの中にいる飼い主さん達にそんな業者に当たってほしくありません。
私のこの体験談がお役に立てればいいと思っております。
誰かからの励ましやお手伝いがなければ私達はもうとっくに限界を迎えていたと思います。
捜索期間中、心ない言葉などを平気で言う人も何人かいたりしました。
けれど、今ふー太郎が無事に帰って来てくれて、そんな奴らに「どうだ!ふーは帰ってきたぞ!お前の負けだ!」と言ってやりたい気分です。
まだ悲しみの中にいる飼い主さん達が一日でも早く可愛い子を取り戻せるように、心から祈っております。